ネットにテレビがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! ~ P2P技術を使った「JOOST」ってなんだ?
[2007月06年14日]
(週刊e-Report編集部)
動画配信サービスの光と影
2006年に一気にブレイクしたWebサービスといえば、「YouTube」をはじめとする、動画共有サービスではないでしょうか。皆さんも、何かの機会にYouTubeの動画を見たことがあるでしょう。実際、インプレスR&Dの調査では、7割強のユーザーが「動画共有サービスを知っている」と答えています。
先日KNNの神田さん主催で行なわれた「第8回テレビとネットの近未来カンファレンス ~Joostインタフェースに見られるデジタル時代のテレビインタフェースの行方~」の冒頭では、メタキャストの井上 大輔氏による講演がありましたが、その中で、YouTubeにより起きたユーザー意識の変化について以下のように挙げています。
・動画ファイルの共有から、視聴体験の共有へ
・視聴者同士が繋がり始めた
・コミュニケーション(MySpace、mixi)をフックとした視聴
その結果、コンテンツホルダー&広告主も、視聴体験の共有が出来る動画共有サービスへの強い期待感から、「動画共有サイト」のただ乗りを黙認しています。このようにネットユーザーとコンテンツホルダーに相当のインパクトを与えた動画配信サービスですが、その注目度に反して、未だ明確なビジネスモデルが確立されているとは言えません。
これは、ユーザー数が増えれば増えるほど、満足な視聴環境を維持するためにインフラの増強を強いられてしまい、収益を上げることが厳しくなっていくジレンマを動画配信サービスが抱えているからなのです。ひろゆき氏も、「動画はトラフィックがやたらと大きくなってしまい、回線コストがかかるのでなかなか規模が広げられない」と動画配信サービスについて懐疑的な見解を示しています。
ラジオ・テレビでは、視聴エリア内に100人いても10,000人いても、放送コストは変わりません。また紙媒体も印刷数が増えれば増えるほど、単価を下がります。ところがネットにおいては視聴ユーザー数に比例して配信コストがかかってしまいます。1対1のサービスが得意なネット媒体ですが、1対多数はあまり得意ではありません。そこが既存のマス媒体とネット動画配信の大きな違いです。
KaZaAとSkypeの作者によるP2Pネットテレビ「JOOST」
動画サービスは、前段で述べたように「インフラ」と「コンテンツの権利」についての課題がありますが、その突破口として期待されているのが、「JOOST」(※ジュースト)なのです。(※ヨースト、が正しい読み方とも言われている)
・JOOST
http://joost.com/ (英語)
「Joost」は、KaZaAやSkypeの作者である、ニクラス・ゼンストロムとヤーヌス・フリースによって作られましたが、その最大の特徴はP2Pを使ったネットテレビサービスであるということです。この辺は、KaZaAやskypeの技術で培った技術が活かされています。
P2P(Peer-to-Peer)は、特定サーバーを介することなく、コンピュータ同士を繋げて交信するネットワーク形態を指します。WinnyやSkypeでも使われている技術と言えばイメージがつかみやすいでしょうか?
通常、動画サービスはそのサーバにアクセスしてストリーミングで動画データを読み込んでいきますが、P2Pを使っているJOOSTでは必ずしもそうではありません。 たとえば、ユーザーAが動画Xを見たとします。そうすると、その動画データがAさんのPCにコピーされて格納されます。別のBさんがその動画Xを見たいときには、サーバーではなく、AさんのPCにアクセスして動画Xを見れるという仕組みです。こうやってデータを分散させることで、サーバーへのアクセス集中を緩和することが出来ます。
ユーザーが多くなればなるほど、データの分散化が進みさらにサーバーへのアクセス集中が緩和されることになります。ユーザーが増えるほどに、インフラへの投資を余儀なくされる今までの動画サービスとはそこが異なります。
またJOOSTの権利面に目を向けてみると、ユーザーからのアップロード機能は無いため、YouTubeのように違法な映像が蔓延することがありません。これはコンテンツホルダーから見ると安心材料と言えるでしょう。すでにワーナーやバイアコムといった企業が協力しているのもうなづけます。動画配信サービスと言っても「YouTube」ではなく、「Gyao」に近いスタンスであると言えます。
実際の画質ですが、フルスクリーンでの視聴を前提としているため、かなり良好です。ただし、ユーザーが投稿することができないため、コンテンツの供給が課題ではありますが、バイアコムをはじめ各コンテンツホルダーがコンテンツ提供に乗り出しているため、当面のコンテンツ不足は解消されそうです。もっとも、本当に面白いコンテンツが提供されているわけではないので、まだ不透明ではあります。
動画配信システムとして、従来の課題を解決したと言える「JOOST」ですが、それがユーザーに支持されてビジネスとして成立していくのか、これからも注目したいと思います。
(参考リンク)
冒頭で出た「第8回テレビとネットの近未来カンファレンス」の内容は、下記のブログで分かりやすくまとめられているので参考にしてください。
・レポート:テレビとネットの近未来カンファレンス
http://blog.livedoor.jp/jolyholy/archives/50881701.html (10 goto 10)
またカンファレンスで使われたパワーポイントの資料は全て公開されています。
http://www.tvblog.jp/tvnet/archives/2007/06/post_061114270001.html
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