アイトラッキング分析からユーザー行動を読み解く
[2007月03年29日]
アイトラッキングとは何か?
アイトラッキング分析サービスでは、ユーザーがWebサイトのページのどこを見ているか、どのポイントを注視しているかを事実データに基づいて科学的に分析することができます。
これにより、ユーザーがWebサイトのどの部分をどのくらいの時間見ていたのか明確になり、Webページのエリアごとの関心度を定量化し、ユーザーのニーズを把握することができるのです。
ひと昔前のアイトラッキング分析では、被験者にゴーグルやヘッドギヤーのような装置をつけてモニターを見てもらっていましたが、ユーザビリティ評価を行う場合、ユーザーが普段どのようにWebサイトを使用している状況から分析することを目的としているため、いつも通りのリラックスした状況に近づけることが求められるため、このような装置をつけることで普段とは異なる状況となり、ユーザーによってはスト
レスを与えかねない状況でした。
アイトラッキングでは、視線の計測に眼球に安全な赤外線照射器、制御回路を内蔵したモニターを使用します。余計な計測装置無しの自然な状態でテスト対象のWebサイトをユーザーに見て操作してもらうだけで、ユーザーの顔の画像、眼球画像、角膜反射点を捉え、視線を測定することができるのです。普段、Webサイトを見ているときと近い状態のままで視線を測定できるので、ユーザーへの負担も少なく、自然な操作を促すことができます。
アイトラッキングで何ができるのか?
それでは、具体的にアイトラッキング分析からネットにおけるユーザー行動をどのように分析するのか、考察していきましょう。
アイトラッキングの導入前のユーザーテストでは、テストの案内役がユーザーの操作を観察し、どこを見ていたのかを確認するという方法が一般的でした。そのため、場合によっては案内役の主観が入る可能性も否定できませんでしたが、ユーザーテストにアイトラッキングを組み込むことで、ユーザー自身も意識していなかった客観的なデータを取得できるようになりました。
サービスや商品についての情報を「認知」させることを目的をしているWebサイトでは、どんなに素晴らしいデザインのWebサイトでも重要な情報が掲載された箇所をユーザーにしっかり見られていなければ、Webサイトとしての目的を達成することができません。
アイトラッキング分析は、見られたかどうかの客観的な事実データを得ることができるため、ユーザビリティ評価の精度が向上し、今まで気付かなかったユーザー行動を発見することがあります。
たとえば、ECサイトでは、商品の見出しに沿って視線が動き、サイドエリアの広告バナーや関連情報には視線が移りにくい傾向があります。また、一般的なユーザーは長い文章をよほど興味がない限り全てに目を通してくれませんが、画像だからと言って必ず注目するわけでもありません。むしろ、画像の下や左右にある見出しに視線を移していることがあります。
ナビゲーションにもユーザーは意図した通りに使ってくれない場合も多いように思われます。次のページに移動するときには、グローバルナビゲーションは使用せず、メインエリア内のリンクから探すユーザーは意外に多いのです。
どこまで測定できているのか?
アイトラッキングによって、ユーザーが見ていた箇所と見られていない箇所をどの程度抽出することができるかのか気になるのではないでしょうか。
実際に、某メーカーサイトのユーザビリティテストでアイトラッキング分析を行った結果、ユーザーは、クライアント側の期待に反し、広告バナーやCM動画を見ていないということがわかりました。しかし、後で広告バナーやCM動画の存在に気付いていたか聞いてみると、ほとんどのユーザーは存在することは理解していたようです。
広告バナーやCM動画は、視界の片隅には入っており、アイトラッキングでは視界の中心部を測定するため、視界の片隅に入った広告バナーやCM動画はデータとしては残りにくいようです。しかし、ユーザーは意識して見ようとすれば視界の中心で見るはずなので、バナーやCMへの無関心により積極的に目を向けようとしていないと推測できます。実際に、ユーザーに聞いてみると、「広告は反射的に拒否してしまう」「CMには興味があるけど、動画は避けてしまう」という意見が多くあがりました。
アイトラッキング分析では、確かに「見られていた」データは残っていても、「見ていた」(認知)かどうかまでは測定することはできません。CM動画にしても、アイトラッキングのデータとしては目は確かに向けられているのですが、ユーザーにCM動画について尋ねてみると、覚えていなかったり、どういうものなのか分からなかったという意見が返ってきたことからも、「興味をもったから見ていた」のか、「使い方
が分からず思考停止で見つめていた」のか、ユーザーが見ている理由や動機までをアイトラッキングだけでは判断することができません。
アイトラッキング分析をどう活かすか?
Webサイトの目的によって、ユーザーの視線は変わってきます。
ECサイトでは、よそ見は一切せず、目的達成のために最短距離の視線を描くであろうことが予想されます。しかし、アイトラッキング分析の結果、注目ポイントがあちこちに広がっていたということであれば、ユーザーは戸惑いを感じながら操作しているので、サイト構造、ナビゲーション設計を見直す必要があります。
エンターテイメント系のサイトの場合は、ユーザーは気の赴くままに視線を走らせるので、注目ポイントは広範囲に分布することが予想されます。ECサイトとエンタメ系のサイトで、ユーザー行動が異なるように、Webサイトの性質やユーザーの利用状況を把握した上で、アイトラッキング分析を活用することが重要です。
アイトラッキング分析は、リニューアルサイトのプロトタイプ検証や既存サイトの問題点の抽出など様々な用途に役立てることができますが、それ単体のソリューションではなく、他のユーザー行動分析ツールに補完するツールです。
ログ解析やアンケートといった量的分析や、Webサイト上の操作の裏づけとなる心理状況を観察できるユーザビリティテストやインタビューなどの質的分析と合わせて複合的に分析することにより、ターゲットユーザーに最適化したサイト設計を実現することができます。アイトラッキングにご興味をもたれた方は、お気軽にご相談いただければ、と思います。
・アイトラッキング分析サービス
http://www.e-agency.co.jp/services/03.html (イー・エージェンシー)
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■ 株式会社イー・エージェンシー 広瀬 敦子
アイトラッキングと他の調査分析を組み合わせたサービスを展開していきたい
です。
東京はそろそろ桜の開花。こちらも花を咲かせていきたいです。
http://www.e-agency.co.jp/
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