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Webマーケティングレポート


あっという間に売り切れてしまった〜事例を読み解く(2) − こうすれば売れる!レスポンス・ライティング(5) はてなブックマーク ライブドアクリップ


[2002月10年31日]

(木村 祥一郎 / 週刊e-Report編集部)


「あっと言う間に売り切れてしまった」というワイングロッサリーのメールマガジンの事例分析。前回は・・・

・ポイント1:注目を引き、興味を呼び起こす件名(Subject)と導入部。
・ポイント2:なぜ他ではなくあなたから買う必要があるのか?

について考えてみた。では、今回も引き続き、残る3つのポイントについて考えてみよう。


●ポイント3:なぜ「後から」ではなく「今」買う必要があるのか?

次のポイントは、「今」買わなくてはならない理由が明快かどうか、ということ。消費者は移り気だとよく言われる。「今」欲しいと思っても、ほんの数日経てばそう思ったことさえ忘れてしまう。
わが身を振り返ってみても、そんなことが多いのではないだろうか。

そこで、「欲しい」と思わせたら「今、スグ」購入してもらう − 売る側にとっては、これがいちばん理想的なのである。考えたり、保留したりしているうちに気が変わるかもしれないし、他の商品の方が良く見えてくるかもしれない。実際、そういうことは往々にしてあることだからだ。

では、「今、スグ」購入してもらうためには何が必要なのか? もっともシンプルかつよく使われるテクニックがある。そう、「今を逃すと、後からでは、なくなってしまって後悔するかもしれない」という心理をつく方法だ。

「本日店じまい」という看板を10年以上も掲げている洋品店が大阪某所にある。これはちょっと極端としても、まさにこのテクニックを地で行っている。限定感を出すことによって「後からでは買えなくなる」という心理をつき、「今」買う気にさせるというわけなのである。

ただ、これにも注意が必要である。なぜなら、こうした「限定感」を出す方法は誰でも思いつくことだからだ。街を歩いても、ネットの広告を見ても、あらゆるところに「限定」やら「本日限り」なんていう言葉が踊っているはず。もう「限定」のオンパレード、インフレ状態なのだ。こんな状況の中では、その商品がたとえ限定であろうとなかろうと、ただ単に「限定」や「本日限り」という言葉だけで訴えてみても、きっとその中に埋もれてしまうだろう。

そこで、重要になってくるのが「限定」の理由なのだ。これが明らかで説得力があるとどうだろう? 今回の「ワイングロッサリー通信」では、ポイント1と絡めて「買い占めたものがこれだけの数しかない」とアピールしている(もちろんこれは本当のことだ)。さらに・・・

★★★間違いないと自信があるから6本セットもご用意!★★★

商品に対する「自信」を、同じもの6本でセット販売するという商品構成で裏付けている。商品に太鼓判を押しているのだ。これだけ「自信」のある商品が、さらに「限定」だという。これは「今買っておかないと後悔するかも」と思わせるに十分ではないだろうか。

さらに言えば、このメール自体が「連日の号外」である。つまり、通常の号の配信まで待っていたら、もう店頭だけで売り切れてしまうかもしれないという「緊急性」まで示しているのだ。本文冒頭にも・・・

連日の通信、失礼いたします! しかし、実店舗と取り合い状態のワインがありまして、明日まで待っていたらなくなっちゃうかも?! と心配になって本日号外でございます\(^o^)/

 すなわちユーザーは、「店頭で売り切れる前に買わなければ」という心理と、「このメールを読んでいる他の人たちに全部買われてしまう前に買わなければ」という心理の2つに支配されるわけだ。

 同様に、ワイン会の紹介でも・・・

即満席が予想されます。
その場合はやむなくお断りすることになるかもしれませんが、どうぞご了承くださいませm(_ _)m

「即満席が予想され」、「やむなくお断りすることになるかも」という可能性。今を逃すと陥る、ある種の「暗い未来」を提示している。もちろん、なぜこのワイン会がすぐに満席になるのか、いかにすごいワイン会なのか、ということは、この前段できちんと説明されている。だからこそ、この3行が効いてくるのだ。


●ポイント4:シズルを伝える

「ワイングロッサリー通信」は、レギュラー号でも号外でも、いかにしてテキストの力でワインの魅力を引き出すか、というところに力が注がれている。ワインを紹介するとき、ワインそのものの魅力を的確に伝えていくのはもちろんだが、そのワインが持つ世界、そのワインによって得られる楽しみを伝えているのである。

例えば、豚肉に塩・胡椒をすりこんで、オリーブオイルとにんにくとローズマリーで軽くマリネしてから焼いてみましょう! 焼きすぎないでジューシーに柔らかく! 付け合せはほくほくのじゃがいも。バルベーラの果実味にばっちりです〜♪ 勿論ステーキにだってハンバーグにだって、はたまたすき焼きにだって肉じゃがにだってマルッ!

この部分はワインそのものの説明ではない。しかし、前段でワインの説明をしておいてから組み合わせる料理の描写へと移ると、そのワインに対する想像力がぐんと膨らむというものだ。


●ポイント5:「書き足し」に意外な効果あり

実はダイレクトメールでは、「追伸」、「P.S.」といった、いわゆる「書き足し」に意外な効果があると言われている。「書き足し」とは、本文中で書き忘れたことを付け足すという単純なことではない。もっと戦略的に利用すれば、本文の内容をより際立たせることができるのだ。メールマガジンの場合、「編集後記」というようなコーナーで同じような効果を生んでいることも多いようだ。今回の「編集後記」はどうだろう?

あせって打ったので、誤字・脱字がないか心配です(^^;) モンサントのガラ・ディナーは超お得! 金額のことは言いたくないですが、なんとイル・ポッジョの71年は42,000円しますっ。他のも高価です・・・。そしてラウラさんはスポーツも得意だそうで、1985年と1986年の二年連続で近代5種類競技(競走、水泳、フェンシング、乗馬、射撃)のイタリアチャンピオンをとられたそう。すごい! 今まで何度かお会いしてるのに知りませんでした(#^.^#)

なんとしても早く伝えなければ、という緊迫感が伝わってこないだろうか? 
「あせって打ったので、誤字・脱字がないか心配です」という部分は、このメールがいかに緊急性の高いものであるかをひしひしと伝えてくる。

また、「金額のことは言いたくないですが」というのも極めて効果的なレトリックである。普段の会話で誰もがよく使う表現だが、「○○のことは言いたくないが」と前置きしたときは、逆に「○○」の部分にスポットを当てて、「○○」をより印象づける効果があるのだ。つまり、「イル・ポッジョの71年」は「42,000円」で「高い」が、そのワインが飲めるワイン会が「9,800円」で「安い」、「お得」ということを暗に語っているわけなのだ。


●「レスポンス・ライティング」とはコミュニケーション戦略である

以上、ポイントを5つに絞って考えてきたが、ワインがあっという間に売り切れたのは、もちろんこの号外メールだけの力ではない。「ワイングロッサリー」は毎週欠かさずレギュラーのメールマガジンを発行して、その中で読者とのコミュニケーションをきちんととっている。長期的な視点に立って、読者との信頼関係を少しずつ少しづつ深めてきたのだ。こうした地道なコミュニケーション活動がベースになっているからこそ、「号外」の効果が出るというものだ。

無闇やたらとスパムまがいのDMを送ったところで、同じような効果が得られるかといえば、そういうものでもない。すなわち「レスポンス・ライティング」とは、一言一句やレトリックだけの問題ではなく、もっと大きなコミュニケーション戦略の中で考え、育んでいかなければならないものと言えるだろう。


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