「モバイルコマースで、事前に購入商品を決めている43.3%」の裏を読む ~ 携帯電話に今、何が起きているのか?(6)
[2007月08年30日]
(佐藤 文彦 / イー・エージェンシー)
・モバイルショッピング利用時、事前に購入商品を決めている43.3%
http://japan.cnet.com/research/column/webreport/story/0,3800075674,20353559,00.htm (CNET Japan)
モバイルコマースに関して、興味深い調査結果が出た。それによると、モバイルショッピングを利用するときは、「既に決まっている商品を購入する」というユーザーは「43.3%」、「商品を決めないでショッピングサイトに訪れ、商品を購入する」ユーザーは「56.7%」ということだ。
私は再三、このコーナーでモバイルコマースは「注意」を惹かれ、「関心」を持つと、次の瞬間には「行動」に移るという、ある種、衝動買いに近い消費行動が起きていると指摘してきた。
・AIPASRの法則
Attention > Interest > Push > Action > Share > Repeat
また逆説的に、消費行動のシナリオを構築する際に、従来の「AIDMA」や「AISAS」における「Desire」「Memory」「Search」の要素を入れてしまうと、ユーザーの消費行動を阻害してしまうということになり、ユーザーの感覚にダイレクトに働きかけて、考える時間・比較検討する時間を与えないことが重要になってくる、とも述べた。
・モバイルコマースを勝利に導く5つの鉄則
http://dragon.jp/column/archives/sato_070712.html
ところが今回の「商品を決めないでショッピングサイトに訪れ、商品を購入する」ユーザーは「56.7%」というデータを見て「衝動買いをするのは6割に満たないではないか?」と疑問を感じた方もいるかもしれない。そこで今一度、このデータの裏側に潜んでいる本当の意味を考えてみたい。
●衝動買いは本当に、56.7%なのか?
実はこの調査の対象年齢比は、10代:9.3%、20代:29.0%、30代:41.0%、40代:20.7%となっている。年齢別のデータが付記されていないので推測でしかないがモバイルコマースとは縁遠い30代・40代が対象者の60%となっているために、平均して43.3%という数値になったと考えられ、モバイルコマースのメインターゲットである10代・20代だけのデータを集計すると70%を超えると推測する。
しかし何も無いところから衝動買いが始まる訳ではなく、最初のきっかけは、あくまでも友達の紹介などのバイラル(クチコミ)であり、現在ブレイクしているケータイサービスの多くがバイラルから火が付いたことからもその重要度は分かる。モバイルコマースの場合は、
クチコミで購買を初回やってみる
→代引きで簡単を体験(住所、名前、電話番号のみ)しちゃう
→リピート及びシェアが始まる。
AIPASRの法則でいうところの、「S(share)」「R(repeat)」でさらにユーザーが増えると言う流れができている。クチコミから始まり、衝動買いに至って、さらにそれがクチコミとなって回るサイクルが、今のモバイルコマースの現状の動きと言えるだろう。
●世代によって大きく異なる購買行動
10代・20代は衝動買いしやすいということになると、「既に決まっている商品を購入する」というユーザーの「43.3%」の内、30代・40代だけを抽出すると、60%程度になるだろう。比較・検討行為が難しいモバイルにおいて、購入する商品を事前に決めておくという購買行動は、なかなかイメージし辛いが、実はPCとの連携しているのではないかと考えている。
たとえば、ファッションECサイトの「ZOZOTOWN」では、PCサイトをメインに世界観を出して展開しているが、実はユーザーの半分が携帯購入の経験者だと言われている。ところが、ZOZOTOWNのモバイルサイトは、3キャリアの公式サイトにこそなっているものの、ZOZOTOWNの世界観を充分に伝えているわけではない。しかし、それでも成果に繋がっているのである。
仮説だが、会社で時間のあるときにPCサイトで徘徊し、帰宅時以降にモバイルであらためて購入するユーザーも多いのではないだろうか。閲覧はPC、決済手段はモバイルとユーザーが使い分けている可能性があるのだ。もちろんチラシや雑誌で購入するものを決めて、QRコードや空メールからモバイルで購入というユーザーも当然考えられる。それらの意見を含んで「既に決まっている商品を購入する」というユーザー「43.3%」というデータが出たと思われる。
世代や、日常生活におけるモバイルの関与度によって、その購買行動は大きく変わってくる。全体の傾向として、大枠の数字を掴んでおくことはもちろん必要だが、自分のターゲットの購買行動をしっかりと把握して、そこを狙っていかなくては成果を出すことは出来ない。
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