恋人に説明するワンセグ アイデアマンズアイデア(4)
[2006月05年11日]
(寺嶋 芳延 / アイデアマンズ)
今さらながら「ワンセグとは何か」
世間がワンセグ、ワンセグと何やら騒がしい。IT業界に従事する人ならばWebサイトや雑誌などで“ワンセグとは“という記事に一度は目を通しているだろう。しかし、いざ身近な人から「ワンセグって何?」と聞かれると説明に詰まってしまう人も多いと思う。
ここで今一度、ワンセグについて誤解を解いて、すっきり正しく理解しておこう。
1.ワンセグとは、携帯端末向けの地上デジタル放送である。
現在のテレビ放送は、本放送が始まった1953年以来ずっとアナログ信号に載っている。2003年12月より地上デジタル放送が始まり、まずテレビの放送電波がデジタル信号で発信されるようになった。今秋にはラジオ放送もデジタル化する。ワンセグもこのデジタル放送革命のひとつに位置づけられる。なお現行のアナログ電波は2011年7月に役目を終えて停止される予定である(古いテレビはチューナーなしでは見られなくなる!)。
2.ワンセグは、サービス名称である。
「ワンセグ」は上記のとおり、ひとつのサービスの呼称である。「何の略なの?」とつい聞きたくなってしまう名称が無意味に人々に混乱を与えているように思う。「13個ある電波帯域の1つを使ったモバイル向けデジタル放送」=「ワン・セグメント」なのだが、周波数帯域の諸事情については専門家に任せて、我々一般人は「据置きテレビよりも少ない情報量」というニュアンス程度で覚えておこう。
(詳しく知りたい方は下記URLを参照)。
・[D-pa] 社団法人 地上デジタル放送推進協会
http://www.d-pa.org/1seg/index01.html
3.ワンセグはチャンネルではない
13という数字を聞くとテレビのチャンネル数を想起し、ワンセグは新たなチャンネルだと勘違いする人もいるようだ。ワンセグは新たなテレビ局でもなければチャンネルでもない。強いて言うなら「テレビ放送」や「ラジオ放送」と同列のものである。
4.ワンセグで視聴できる番組は普通のテレビと同じもの
当面は通常のアナログ放送と同じコンテンツを同じ時刻に放送すること(サイマル放送)が総務省によって義務付けられている。2008年以降この規制は解除され、ワンセグならではの番組構成となることが期待される。
5.ワンセグ放送は無料
ワンセグ放送は受信料無料である。パケット代なども発生しない。NHKの受信料についても、既に世帯単位で受信料を支払っているので別途支払う必要はないとのことである。ただし双方向サービスを利用した場合は通信料が発生する。
6.ワンセグは電波である
IPではない。パソコンをインターネットにつないでも見ることはできない。ストリーミング放送とは原理的に異なる。
7.携帯電話以外の機器でも見られる
ワンセグ対応のノートPCやカーナビ、オプションをアタッチすることでニンテンドーDSでも視聴が可能になる。
データ放送こそがデジタル放送の要
地上デジタル放送とアナログ放送の最も異なる点はそれが双方向通信につながる高度なデータ放送を持つか否か、である。
地上デジタル放送では映像とともに、BML(Broadcast Markup Language)というXMLベースの言語で記述された情報が送信される。これは従来の文字放送よりはるかに強力で画面の表示制御を行うための情報のほかに、HTMLのようにハイパーテキストの表示情報などが含まれる。画面に表示されたリンク文字をクリックすればブラウザ同様、他のページへ遷移したり、サーバ側のプログラムをキックしたり出来る。つまり情報が双方向となるわけだ。
BMLは従来のBSデジタル、110度CSデジタル、地上デジタル放送において利用されている。さらにワンセグ放送では以下の仕様が追加された。
1.Eメール連動機能
2.スケジュール連動機能
3.GPS情報連動機能
すなわち、携帯電話が持っているデバイス機能をBMLを通して利用することが出来るのだ。これらの機能を使ったアイデアをいくつか考えてみた。
Eメール連動機能では、番組の感想を番組宛に送付したり、友達に紹介するなどの利用が考えられる。友達の間でドラマの批評メールを交換すれば、あたかも一緒にTVを見ているような気分になれる。また、MLを用意してコミュニティを形成したり、その内容を番組にフィードバックするのも面白い。テレビ局側にすれば、クチコミによって視聴者が増えてくれれば嬉しい限りである。
スケジュール連動機能では見たいドラマを忘れて見逃すことのないようスケジュール帳に表示させたり、その番組の放送時間が近づくとアラームで知らせてくれるなどといった利用方法が考えられる。Eメール機能と併用して、友達同士チェックしている音楽番組やバラエティ番組を共有し、話題に乗り遅れないようにするのも中高生たちの日課になるかも知れない。
GPS情報連動機能では番組で紹介したレストランの位置を表示したり、チェーン店ならば最寄の店舗の位置を表示すると言ったことも可能になるだろう。あるいは視聴中の場所がロケ地に近い場合、それを教えてくれるという機能があると番組の楽しみ方に深みが出そうだ。
現状、放送コンテンツやBMLの制作はテレビ局側にまかされており、関係者以外の人には参入する余地がない。当面はテレビ局大手代理店、映像プロダクションが主役となり、インターネット中心の事業者に活躍の場は少ないと思われる。しかし、2008年の「サイマル解禁」や、それを待たずとも携帯キャリア各社がワンセグアプリAPIを
公開することがあれば事情は変わってくる。テレビ局関係以外の開発元からも多様なサービスが提供されることになると期待される。
ライバルはモバイルGyaOか? 「通信と放送の融合」
一方、技術的な大きな動きが先行する可能性が高いのがモバイルGyaOだ。モバイルGyaOは4月25日より本放送をスタートした無料映像配信サービスである。NTTドコモのFOMAに対応しており、auのEZWebでも一部のコンテンツが視聴可能となっている。
ケータイで無料の動画が視聴できるという点でワンセグとモバイルGyaOは一致しているが、何が違うのだろうか?
モバイルGyaOの開発に携わったKLab社長 真田哲弥氏は同氏のブログで以下のように述べている。
引用ここから
-----------------------------------------
『通信と放送の融合には3つの形がある。
3つの形とは、
A)通信設備を使って疑似放送を行う
B)放送に通信機能を加え、放送を疑似双方向にする。
C)放送を通信の入口にする。』
-----------------------------------------
引用ここまで
・ワンセグを斬る(3-2通信と放送の3つの融合形態2 KLab社長 真田哲也 Blog)
http://www.37da.jp/archives/50551858.html
インターネットを使って映像を配信するモバイルGyaOは上記(A)であり、放送電波にBMLを載せて双方向を実現するワンセグは(B)である、と分類している。もともとスタート地点の異なる技術が、それぞれ別の道を通り携帯電話の上で同じサービスに辿り着いたと理解するのが賢明なようだ。GyaOはストリーミング放送、ワンセグはテレビ放送を元にしている。
モバイルGyaOを試してみたところフレームレートや画質においてワンセグに劣るものの、外出先で暇をつぶすには十分な品質レベルを保持している。端末ごとに個別の映像を配信できる点がワンセグとは決定的に異なり、サイマル放送の義務もないので08年を待たずして多様な番組ラインナップを今後提供してくるだろう。
一方のワンセグは、現状のアナログ放送コンテンツをそのまま使える点はある意味強みでもある。高い品質の映像コンテンツを制作するには膨大な費用がかかる。そのコンテンツや仕組みを既に持っているテレビ局はコスト面で優位に立っていると思われる。
まとめ
浮き足立つ放送業界の一方でトレソーラの導いた結論や第2日テレの苦戦、技術が2本化し作業が倍増するのに収益が増えないといった現状の問題点など、技術的課題や採算面での課題は山積みとなっている。今後各社がどのように課題を解決し、インターネットとの融合を果たしていくのか注目していきたい。
●参考ブログ:
・モバイルGyaO
http://www.usen.biz/gyao/index.html
・1セグドット
http://1seg.jp/
・メディアキャスト デジタルデータ放送用BML編集ツールFoliage
http://www.mcast.co.jp/product/foliage.html
・ケータイWatch ケータイ用語の基礎知識 第246回:ワンセグとは
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/26147.html
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■アイデアマンズ株式会社 寺嶋 芳延
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