掲載されるために「TOWER」を登りきれ ~ プレスリリースをメディアに取り上げてもらおう(2)
[2007月10年25日]
(吉村 正春 / 週刊e-Report)
前回は、プレスリリースをメディアに記事として取り上げてもらうには、ネームバリューかニュースバリューが必要である、と述べました。そして大半の商品やサービスは、ネームバリューが低いので、ニュースバリューで補ってあげないといけません、ということも前回述べた通りです。
ではニュースバリューとは何か?どうしたら加えることができるのか?ニュース性があるのか無いのか?ニュース記事として書くに値するのか?と考えていくとなにやら難しいことのように思えますが、シンプルに考えると、記事として書ける材料が豊富にあるかどうか、ということです。
プレスリリースは書き方によって記事化率が大きく異なってきます。まず基本的な事実として「5W1H」の要素は当然必要です。しかしながら「誰が」「何を」「いつ」「どうして」どうやって」という要素は入れれば、たしかにプレスとしての体裁は整いますが、記事化率を上げるためには、さらに情報や付加価値の後押しが必要です。
つまり商品やサービス単体だけで話題になるのであれば話は別ですが、そうでない場合は、競合との差別化なり、狙っていきたいポジションや市場動向など付加情報を付けてメディアに提示しなくてはなりません。
今回は、付加情報として重要なポイントを「TOWER」というキーワードで示してみました。「TOWER」を登りきったときに、きっと記事に取り上げられる確率は飛躍的に増えるでしょう。
Timely:タイムリー性
取り上げられるには時流の後押しを受けることも必要です。旬な話題であれば記者の目に止まりやすくなりますし、結果として記事になる確率も高まります。弊社のミニブログサービス「もごもご」のリリース時は、ほぼ同時期に同種のサービスが一気にリリースされましたので、ひとまとめにして特集として取り上げられることも度々ありました。単体で見ると普通のサービスでも、同時期にリリースされた事実自体に
ニュースバリューが付くというケースです。同種のサービスの中に埋もれてしまうという危険性が無いこともないのですが、スルーされるよりははるかにましです。
ちょうど旬になっているサービスに乗っかるということも有効です。似たようなネーミングにしたり、と他人のふんどしで相撲を取ることになりますが、やり過ぎると当然反感を買いますので、狙い過ぎには注意が必要です。また流行語などに乗っかってしまうと、流行語の廃れと共に一緒に忘れられてしまいますのでこちらも注意が必要でしょう。
Objective:目的
なぜそうしたのか?それを始めようとしたのか?今後どうしていきたいのか、というをビジョンはしっかりと示します。自社サービスは「なんとなくやってみた」「面白そうだったから」といったところからプロジェクトが始まったりすることが多いので、明確なビジョンや今後の展望が無かったりします。
たとえ実態はそうであったとしても、後付でもいいので、ビジョンを語ってください。大風呂敷を広げることを推奨するわけではありませんが、記者の気持ちになって考えた場合、「このサービスはなんとなく始まった」「ノリで作られた」というプレスリリースに対して記事が書けるわけがありません。大風呂敷を広げ過ぎて壮大過ぎるとてさすがに胡散臭くなってしまいますが、最低限でも事実だと信じられるくらい
の信憑性でビジョンは語っておきましょう。
ちなみに私個人は、プレスリリースに書かれているビジョンや心意気で、ライター魂を揺さぶれられることがあります。
Website:Webサイト
プレスリリースを出すときには受け皿となるランディングページをきちんと用意します。新商品を発表したのに、その商品ページが無い、というのは意外に多いのです。記事中で紹介するときに、受け皿となるページが無いのは紹介し辛いのです。
またたとえばコミュニティサイトなど、個人が参加しているサービスの場合、肖像権などの問題でそのサイトの画面キャプチャを勝手に撮って使っていいのか迷います。また特に会員制サイトなどログインしてみないと分からないサービスの場合も同様です。このようにキャプチャを取りにくい場合には、そういった素材を予め用意してあげることも重要です。
もうひとつ、世界的な潮流として、プレスリリースを基点とするソーシャルメディア化が進んでいます。プレスリリースをメディアに対して送るだけではなく、Webを使って消費者にダイレクトにメッセージを届けようとする試みです。プレスリリースページにブログのようにトラックバックを受け付ける、ソーシャルブックマークしやすいようにする、動画メッセージをYouTubeに投稿する、といったことを通じて、既存メディアだけではなく消費者との距離も縮めようとしている企業は増えています。
(参考記事)
・企業サイトがソーシャルメディアになる
http://zen.seesaa.net/article/60215124.html (メディア・パブ)
・「ソーシャルメディアニュースリリース」の採用続く
http://www.netadreport.com/blog/2007/10/blog-post_6986.html (インターネット広告のひみつ)
Edge:強調点
「エッジを効かせる」なんて言葉もありますが、強調すべき事柄を示しましょう。既存サービスや従来の自社商品と比べて何が違うのか、どこが優れているのか、データがあればもちろんそのデータも併せて示します。客観的なデータも踏まえた市場分析を提示した上で、今回の新商品の優位性に触れると、記者も理解しやすくなります。
「業界初」「世界1位」などといった明確なセールスポイントがあればもちろん訴えていくべきですし、リリース側が大したことが無いと思っていても、傍から見るとすごいと感じることはよくあります。出せる情報があれば色んな確度から出しておくに越したことはありません。そのどれかが記者の心に刺さればしめたものです。
Relation:関係性
プレス配信用のメールアドレスにプレスリリースを配信するということは前回述べましたが、記者のアドレスを知っているのであれば、その人に向かって直接プレスを送った方が目に留まりやすくなるのは道理です。もちろんその場合は、ただプレスリリースを一方的に送りつけるのではなく、きちんとしたその人用に書いたメールに添付して送るなどの配慮は必要です。
どうやってそのリレーションを構築していくか、ということなのですが、記事化してくれたことに対してお礼のメールを出したり、取材を受けたり、あるいはイベントで名刺交換をしたり、といった接点が考えられます。
そしてこれは案外盲点なのですが、プレスリリースを取り上げてもらう対象は既存メディアにこだわる必要はありません。たとえば、アキバBlogという人気ブログがあります。月間で1,700万PVを叩き出すモンスターブログですが、もちろん読者属性は秋葉原に関係する情報に興味を持っている人達です。それにより、ニュースの方向性によっては、日経新聞で取り上げられるより、アキバBlogでネタにしてもらった方がよっぽど宣伝効果は高い、ということも起こります。
カリスマ的な人気を誇る大手ブログから火が付き、後追いで既存メディアが取り上げるといったこともしばしば起きていますので(最近では初音ミクでしょうか)、何が何でも既存メディアという時代ではないということも踏まえておきましょう。自身の業種・分野に合致したブログや個人サイトをピックアップしプレスリリースの配信先に加えておきましょう。しかし送付先があくまでも個人ですので、ビジネスライクではなく丁寧な対応を心がけることは言うまでもありません。
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